賑わい創研

「まち宿」で再生する熱海の今

皆さん、熱海といえばどのようなイメージをお持ちでしょうか。私が最後に訪れたのはもう10年以上前になりますが、その時は観光地としての面影はあるものの、かなり寂れた印象がありました。それがここ数年で様変わりし、多くの人が訪れる活気あふれる街になっているのです。実際にまちを歩いてみますと、スイーツ系の新しいお店が目立ちますし、お店の方も観光客も以前に比べ若い方が目立ちます。
この熱海再生の仕掛け人といわれる、市来 広一郎 氏が手掛け、再生の起点となった施設「まるや」についてご紹介します。市来氏の取り組みは、2012年、空き店舗をリノベーションしオープンしたCAFE RoCAに始まります。地域の人・観光客が交われる、人が溜まれる場づくりからスタートしました。このCAFE RoCAが起点となり、後に道路を挟んだ向かい側にオープンすることになるゲストハウス「まるや」 に繋がります。
まるやは2015年にオープン。基本的に宿は宿泊の機能しか持たず、食事・温泉はまちに出ていき利用してもらう形になり、まち全体を宿と見立てた「まち宿」といわれる考え方をしています。まちに滲み出していくという点で、既存のホテルのような、中に囲い込む型とは大きく異なります。
その仕掛けの一つとして、周辺でおすすめの温泉や食事が楽しめる場所を紹介する、手づくりのまちあるきマップを受付で配布しています。お店の雰囲気や名物など細かいところまでイラスト入りで説明がされおり、熱海愛にあふれ、全部巡ってみたくなるようなマップです。

設備としては最大30名宿泊可能なカプセルタイプの客室と、共有スペース、店頭のカフェスペースを備えています。(現在は15名に限定し営業中)
客室は非常に個性的で、リノベーションした会社のデザイナーが1室づつ、それぞれのアイディアで自由にデザインしたとのことです。カプセル型とはいえ落ち着ける空間を演出しています。

共有スペースのボード。世界中からゲストが訪れています。

カフェスペースでは朝食をいただくことができますが、朝食はごはんとみそ汁しか用意されていません。向かいにある干物屋さんで好きな魚を買い、バーベキューコンロで炙って食べることができるのです。この仕組みにも「まち宿」としてのコンセプトが生かされています。

向かいにある2件の干物屋。歴史ある店舗と新しい店舗の融合も魅力。

まるやの前身となったカフェROCAは、現在はジェラテリアとして営業中です。

また近くの路地裏には、まるやに次いでオープンした「ホテル・ロマンス座カド」があり、こちらは映画館をリノベーションした施設です。また、この銀座通り一帯に新しくできた店舗は、1Fだけをリノベーションして営業しているとのことです。2Fは活用できていないとも言えますが、逆に1Fだけでも有効活用ができ、シャッターを下ろさずまちに開かれていることで、まちの賑わいの活性化につながっていると感じました。
今の時期は、この商店街の通りの真上にちょうど花火が上がるそうです。皆さんもぜひ、訪れてみてはいかがでしょうか。

8月26日のオンラインセミナーでは 市来 広一郎 氏 をお招きし、「ポストコロナは地方の時代。地方活性化の新たな挑戦」と題してディスカッションを行います。
お申込みなど、詳しくはこちらをご覧ください。