賑わい創研

岩手県紫波町オガールプロジェクト

岩手県のほぼ中央、盛岡市と花巻市の中間に位置する自然豊かな街、紫波町。人口約3万3000人、主幹産業が農業の過疎化が進んだまちでした。10・7ヘクタールもの使われない町有地を使って、民間の投資を呼び込みながらまちの中心をきちんとつくり、まち全体に影響を波及させたい。広大な遊休不動産の活用と、都市・地域経営課題の同時解決を目指したプロジェクトが「オガールプロジェクト」です。

敷地の中央の芝生広場を取り囲むように建物が立ち並びます。この芝生広場は自由度がとても高く、ボール遊びはもちろんのこと、バーベキューもでき、地域の人が集まり思い思いの時を過ごす憩いの場となっています。

民間主体の施設ではありますが、エリア内には公共施設の町役場と図書館も併設しています。図書館には農業のビジネス支援という要素を加え、産直マルシェを隣接し、マルシェには生鮮3品を中心に地域産品が豊富に取り揃えられています。いつも地域や近隣の人々で賑わい、大変活気にあふれています。2018年の売上げは6億5000万円に上ります。現金収入が増えたことで、農家の人たちがどんどん地域に戻ってきています。また、建物の維持管理費はテナント料の一部と民間への土地の賃貸料でまかなうことができるため、行政の負担はないとのことです。

図書館

図書館に隣接する産直マルシェ「紫波マルシェ」

バレーボール専用体育館をメインコンテンツにして、店舗と宿泊施設を合築した建物もあります。体育館は世界大会もできる基準を満たしており、プロチームの合宿に活用されるほか、部活動の合宿にも活用されるなど、宿泊施設の稼働率は85パーセントを超え、客室が足りず増築が検討されています。ここから将来のバレーボール日本代表選手が誕生するかもしれません。

宿泊施設の共用スペース

世界基準のバレーボール専用体育館

町役場

ここまで写真をご覧になった方はお気づきかもしれませんが、建物はほとんどが木造で、可能な限り地域の木材を使用し、地元の工務店により建設されています。

また、オガール周辺の余った土地はエコハウスによる宅地開発を推進しており、徐々に街ができつつあります。紫波町がエコ先進国のドイツまで勉強に行き、基準をしっかりと定めているため、とてもレベルが高く快適に過ごせる家が立ち並びます。そして基準や優遇など制度設計をうまく行うことで地元の工務店が活躍できる場を作り、地域経済循環につなげています。紫波型エコハウスの普及により、地元工務店と森林産業も復活しています。

エコタウンの様子

オガールプロジェクトの実績としては、まず、オガールエリアの従業員257名もの雇用が生まれたということ。そして、施設の利用者数は、年間120万人にも達しています。また、中央だけが潤うのではなく、農業や林業の生産者を巻き込んだ町民にメリットがある持続可能な開発という点です。

最後に、オガールプロジェクトのプロデューサーを務められ、賑わい創研でもご講演をいただいた㈱アフタヌーンソサイエティ 清水 義次 氏 の言葉を抜粋してご紹介します。
「オガールプロジェクトの特徴は、公共事業を民間事業化して実行したことです。主体となったのは地域型デベロッパーで、長くまちに根ざし、まちを共につくっていくパブリックマインドが必要とされます。こうして現在、過疎と老齢化が進んでいたまちに、保育所の待機児童が84名も発生するほど若い家族が増えました。これは最初からプロジェクトに関わっている私や、町長ですら予想出来なかったことです。世の中はやり方次第であり得ないことが現実化します。」

8月26日のオンラインセミナーでは開発に携わり、オガールプロジェクトの中枢である(株)オガール、オガールプラザ(株)、オガールセンター(株)代表取締役でもある岡崎 正信 氏 をお招きし、「ポストコロナは地方の時代。地方活性化の新たな挑戦」と題してディスカッションを行います。
お申込みなど、詳しくはこちらをご覧ください。

※取材・写真撮影は2019年9月に行ったものです