賑わい創研

「MIND TRAIL 奥大和 心の中の美術館」体験レポート

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 11月14日、「MIND TRAIL 奥大和 心の中の美術館」に行ってまいりました。この美術展は、NIGIWAI LABOでご講演をいただいた、株式会社ライゾマティクス・パノラマティクス(旧:ライゾマティクス・アーキテクチャー)主宰の齋藤 精一 氏がプロデューサーを務められました。
 10月3日~11月15日に開催され、コロナ禍での密を避ける新しい美術展としても注目を集めました。奈良県奥大和の吉野町、天川村、曽爾村の3つの地域で、自然とアートが融合する歩く芸術祭です。スマホアプリYAMAPと連動していて、スマホに地図を読み込むことができ、歩いた情報や、道中の写真なども一緒に記録し旅のしおりを作ることができます。

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 秋晴れの気持ちの良い凛と澄んだ空気の中、近鉄吉野線の終着駅である吉野駅に降り立ちました。吉野コースは、標高600mを登って折り返す道中に、22点のアート作品が展示されています。齋藤氏の講演で「作品を探すのが目的ではなく、自然の中を歩きながら何かを体感する」というお話を聞いていたので、身構えることなく気軽な気持ちで散策を開始しました。
 この地域は金峯山(きんぷせん)と呼ばれ、古くは大峯山へ至る修験道の入り口でした。修験道とは、山に入って擬死再生を体験することで自分が生かされていることを知ることで、昔の人々は吉野の山に神と仏を見出していました。
 登りはじめの地点には金峯山寺があり、高さ34メートル、四方36メートルの堂々とした姿の本堂・蔵王堂があります。ここ金峯山寺は女性や子供もお参りができるよう、山の下に建てられたそうです。明治時代の修験道廃止の危機にも取り壊しを免れ、神社ではなくお寺として復興した歴史あるお寺でもあります。
 周辺にはほかにも社寺がいくつも点在し、色付き始めた木々がとても美しく、参道の商店街には登山者や家族連れなど多くの人が訪れていました。

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金剛山寺
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金剛山寺を通り過ぎ、なお続く参道商店街を抜けると徐々に上り坂がきつくなってきます。その道の途中にも、古民家をリノベーションしたカフェや古くからの趣ある蕎麦屋などが点在していました。

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 ここから先が本格的な登りになり、200mほどを一気に登っていくことになります。
 展示されているアートの話に触れておりませんでしたが、不思議なもので、歩き始めはやはり展示物を見ようという意識があり、そうすると逆に展示に気づかす通り過ぎてしまっていたのですが、次第に周りの景色や神社の荘厳さなどに心を惹かれ散策に夢中になってくると、自然と作品が目に入ってくるようになりました。例えば、側道に開けた見晴らしのいい駐車場があり、そこからの景色を見ようと寄り道をすると、思いがけず、その奥に展示がありました。
 山歩きに夢中になり感覚が研ぎ澄まされて初めていろいろなものが見えてくる。そうすると、山の自然の中にある虫や木々まではっきりと美しく目に映るようになりました。

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それからもしばらく登り、この先もまだまだ登りは続きますが、吉野水分神社がコースの折り返し地点となっています。吉野水分神社は子守神社として知られ、かつて豊臣秀吉もお参りをし、秀頼を授かったといわれています。標高約600mほどの地点で、神社の近くにある花矢倉展望台から吉野の風景が一望できます。

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展望台
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吉野水分神社
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吉野水分神社

復路は、同じ道をたどるのではなく、森の中を分け入っていくコースになります。森の中にもアート作品が点在していました。

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 森の中は、険しい坂道になっている場所もあり、登り以上に一気に山を下る形になりました。途中はすれ違う人もほぼなく、ただ黙々と滑りやすい地面に気を付けながら足を進めていく状況になり、この瞬間、山の中に佇む自分を認識し自分との対話・内省が始まります。通常ではなかなか立ち入らないだろうと思われる道を、先へとどんどん進んでいきます。開けた場所にはお寺もありますが、その先もしばらく川に沿って下ったり、小高い丘を越えたりしながら、進んでいきます。
 日頃の運動不足がたたり、だんだん足がきつくなってきていましたが、この道を通ったからこそ見ることができる風景がとても美しく、発見があり、歩くコースまで含めて全体が一つの作品になっているのだと感じました。

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 金峯山寺周辺の商店街まで戻ってきてから、喫茶店で数時間ぶりのコーヒーを飲みました。山歩きに夢中になっていた身体に、温かい温度が広がっていきます。その後、近くのお寺で行っていたオーボエとピアノのコンサートをぼんやり眺めながらしばらく過ごしました。
 そして、再び金峯山寺に向かい齋藤氏の作品「JIKU#006YOSHINO」を鑑賞しにいきました。作品の点灯時間を待っている間に、蔵王堂の中に大勢の僧侶たちが入っていき、本堂の扉が閉じられました。間もなく、僧侶達のお経が始まり、声明が漏れて辺りに厳かに響きわたりました。私はその情景に、吉野の1日の終わりを感じることができました。

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ところで、YAMAPの記録では活動時間4時間45分、距離12.7km、580mを登り下りしたことになっていました。翌日、足が痛くて動けなかったことは言うまでもありません。

取材:NIGIWAI LABO事務局 石川 孝

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