賑わい創研

Business Development School in 和歌浦(前編)

地域で持続可能な賑わいをつくるには、その場所で活躍する人の存在が欠かせません。
まちを元気にする方法を知りたい、まちで事業を始めたいけれどアドバイスがほしい。
そんな悩みを持ちながら地域で頑張る人たちを応援するため、賑わい創研ではビジネススクールを開催しました。

「Business Development School 事業構想講座」と題し、2021年10月から2022年3月にかけて和歌山市で行った本スクール。会場となったのは、和歌にもうたわれている景勝地・和歌の浦に抱かれた和歌浦湾を眼前に望む「和歌の浦アート・キューブ」。この場所からほど近い「明光通り」の賑わいづくりがスクールのメインテーマです。

和歌の浦
和歌浦湾
不老橋とアートキューブ
干潟にかかる不老橋(写真左)横の建物が、今回のスクール会場である和歌の浦アート・キューブ(写真右)


受講生は、市内で事業拡大を目指す人、Uターン・Jターン・Iターンを希望する人、近隣から和歌浦地域の可能性を探る人など、さまざまなバックグラウンドを持つ人たち。今回のスクールでは、まちづくりの達人による全3回の講演会とワークショップを行い、最後にそれぞれの事業プランを提出していただき修了です。

第1回目の開催は2021年10月25日。講師は、東京・大阪をはじめ全国に93店舗(2022年3月末時点)の飲食店を展開する株式会社バルニバービ代表取締役会長CEO兼CCOの佐藤裕久氏です。

佐藤裕久氏
株式会社バルニバービ代表取締役会長CEO兼CCO 佐藤裕久氏


バルニバービは、人通りのない場所に人を呼び込めるような面白い店をつくり、次々に繁盛店を生み出してきた外食産業の雄といえる存在です。そのバルニバービが現在手掛けているのが、淡路島を舞台にした「食」による地方創再生プロジェクト。淡路島の資源を生かしたまちづくりを成功させた佐藤氏が語ったのは、外の目で見た和歌浦の資源の豊かさ。明光通りに数多く残る古い建物や昭和につくれられたような看板は類いまれな個性であり、その「古さ」を生かしたまちづくりに大きな可能性を感じると話し、地域再生への勇気を与えてくれました。

講演を聞き入る受講生
講演に聞き入る受講生の皆さん


続く第2回目は2021年11月22日。新潟県村上市のまちづくりに全身全霊を傾け、国土交通省認定観光カリスマにも選ばれた、株式会社きっかわ代表取締役社長の吉川真嗣氏を講師に迎えての開催です。

吉川眞嗣氏
株式会社きっかわ代表取締役社長 吉川真嗣氏


市の近代化計画に反対し、たった一人で城下町・村上の姿を守る活動を始めることになった吉川氏。お金もない、協力者もいないという状況の中で懸命にまちづくりを勉強し、アイデアと行動力でいくつものイベントを企画し、成功させてきました。くじけることなく挑み続ける吉川氏の熱意は徐々に周囲の人たちを目覚めさせ、やがて市民あげての取り組みへと発展。そして、約20年の時を経て村上市の近代化計画はついに白紙に戻ったのです。吉川氏のこの奮闘は、受講生の皆さんに「小さな力でもまちを変えることができる」と確信させたことでしょう。

アフタートーク
講演後は、講師と賑わい創研代表の松本大地によるアフタートークを開催


第1回、第2回とも、講演会終了後は各グループに分かれてワークショップを実施。
自分たちが暮らすまちのため真剣にディスカッションを交わす皆さんの姿は、地方のまちづくりを考えていくことを目的とする賑わい創研スタッフにも大きな刺激となりました。

ワークショップ
グループごとに分かれてワーショップも開催


後編へ続く)