賑わい創研

Business Development School in 和歌浦(後編)

2022年に入り、「Business Development School 事業構想講座」は第3回目の講座を目前に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期を余儀なくされることとなりました。
そこで、2022年2月14日に急きょ開催したのが、賑わい創研代表の松本大地によるオンライン講義です。

オンライン講義
松本大地によるオンライン特別講義


それぞれの地域で、独自性を追求し活躍する「超専門店」。コッペパン、おはぎ等の大人気商品や、品質にこだわった衣料品の小売店、地域住民の生活に根ざしたコンビニエンスストア等々。受講者の皆さんに明光通り再生に向けた事業のヒントを見つけ出してもらえるよう、松本が全国に存在するローカルビジネスの事例を多数紹介しました。キーワードは「スモールメリット」。日々の努力と小さな積み重ねが、地域で愛される店をつくっていくのだと語りました。


そして、第3回目の講座が開催されたのは2022年3月16日。最終回の講師は、全国商店街振興組合連合会理事長を務める阿部眞一氏です。長野県佐久市の岩村田本町商店街の代表理事、株式会社まちづくり佐久の代表でもあります。これまで強いリーダーシップで商店街の再生をけん引してきました。

阿部眞一氏
全国商店街振興組合連合会理事長 阿部眞一氏


大型店の出店をきっかけに衰退した商店街を活性化するため、仲間と一丸となり数々の取り組みに挑戦してきた阿部氏。失敗に学びたどり着いたのは、岩村田が宿場町として栄えていた頃のアイデンティティーを取り戻し、「商店街」から「生活街」へと生まれ変わること。それは、ローカルファースト先進都市のポートランド(アメリカ合衆国オレゴン州)を手本に、ゾーニングから着手してエリアを一新するという大胆な手法です。阿部氏のパワフルな人柄から発するエネルギーが新たな岩村田誕生の現実性を強く感じさせ、受講者にまで元気が波及するような講演でした。

阿部氏アフタートーク
アフタートークにはまちづくりを研究する和歌山大学の足立教授が参加してくれた


3回の講座を終え、受講生の皆さんには事業計画をご提出いただきました。
その中から2名の受講生が優秀賞を獲得。3月24日に行われた修了式で賞状を授与いたしました。
ここで発表されたアイデアに基づく事業が、現在、実際に動き出しているところです。

受賞者
優秀賞に輝いた受講生のお二人


【番外編】
第2回「Business Development School 事業構想講座」の前日にあたる11月21日、明光通りで開催されていたマーケットイベント「明光ワンダーストリート」を訪れました。このイベントは、民間事業者が企画・運営を行い、和歌山市が主催したものです。明光通りの空き店舗を利用して、県外の移住希望者などによるトライアル出店が行われました。

明光通りアーチ
普段は人通りがまばらだというかつての商店街にたくさんの人が詰めかけていた


Mの文字をモチーフにしたレトロなアーチの向こうには、たくさんの人、人、人。
この通りに並ぶ多くが空き家だということを忘れさせるような賑わいで、横断歩道の反対側から眺めている間にも、次々とお客さんがアーチをくぐって行きます。

アーチ付近
アーチ付近ではお茶のふるまいや福引きが開催されていた


運営スタッフや出店者は若者が中心。彼らがイベントに訪れた人たちとコミュニケーションを楽しむ様子は、人との触れ合いが希薄になっている現代社会に、温かい風を吹き込んでいるように感じました。

ラジオ配信中
スマートフォンのアプリを使った独自のラジオ放送など若者らしい発想でイベントを盛り上げる


アートの展示、おむすびやみそ汁のお店、古本や同人誌の移動販売、おしゃれなカフェ等々。
そこには古さと新しさが入り交じった魅力的な空間が広がり、今後の明光通りの再生に期待がふくらむイベントでした。

ワンダーストリートの様子
イベントの終了時間を待たず完売の店も見られるなど大盛況の様子


(前編はこちら