第37回 NIGIWAI LABO セミナー レポート
- 2024.01.22

岡崎市での出張ラボ(第36回 NIGIWAI LABO)に次ぐ第37回 NIGIWAI LABOは、東京・秋葉原での定例開催。今回は、小田急電鉄株式会社の執行役員であるデジタル事業創造部長 久富雅史さまを講師に迎え、変わりゆく私鉄のビジネスモデルについてお話を伺いました。
人や物の輸送から始まり、沿線の不動産開発で経済を発展させてきた鉄道ビジネスが、長期にわたる人口減少で転換期を迎えています。価値観の変化により店舗を持たずに商いをする人が出始めたり、首都圏の商業ビルでもテナント集めに苦労しているという話が聞こえてくるようになりました。
こうした時代に対応する新たな私鉄ビジネスとして小田急電鉄が取り組むのは、地域の課題を解決し、まちの成長をサポートする支援型開発のまちづくり。鉄道の地下化で生まれた線路跡地(東北沢駅〜世田谷代田駅間)を活用し、2022年に誕生した全長1.7kmの「下北線路街」により、東京・下北沢は大きな注目を集めました。

「下北線路街」は、地域の価値にフォーカスし、下北沢が持つ本来の魅力を高めることを目指し開発を進めたといいます。個人出店がしやすい兼用住宅の商店街、住宅街の中の雑木林や緑地広場など、地域で暮らす人に幸せを感じさせるような仕組みや空間が整備され、活気を帯びながらも、ゆったりとした落ち着きのあるまちが生まれました。
小田急電鉄は、小田急線沿線以外にもさまざまな地域で未来に向けた取り組みを行っています。セミナーでご紹介いただいた数々の事例は、私鉄の新たなビジネスモデルとなることはもちろん、地域の課題解決に取り組むさまざまな企業・団体にとっても大変参考になるものでした。

セミナー後は、賑わい創研代表の松本大地が進行役を務めるアフタートーク。2022年に「鉄道の沿線価値を上げる」というテーマで開催したNIGIWAI LABOシンポジウムを振り返りながら、久富さまとともに今後の鉄道事業について考察しました。

会場にお越しいただいた皆さま、オンラインで参加くださった皆さま、ありがとうございました。